生活保護関係ニュースクリップ№316
生活保護関係ニュースクリップ№316
◆平成21(2009)年11月5日 読売新聞 東京朝刊
無料低額宿泊所 防火不備9割 ホームレスや生活困難者向け=神奈川
◇県「抜本的な基準整備が必要」
ホームレスや生活困難者に住居を提供し、自立支援を図る民間施設「無料低額宿泊所」が、県内に計103施設あり、東京都に次いで、全国で2番目に多いことが、厚生労働省の全国調査でわかった。このうち9割以上の施設がスプリンクラーを設置していないなど、防火体制が不備だったほか、1割以上が、入所者の金銭管理を行っていることも判明。県内の行政担当者からは「抜本的な基準の整備が必要」との声が上がっている。
◇103施設 全国2位
調査によると、県内でこうした宿泊所があるのは、横浜市、川崎市、横須賀市、相模原市など15市3町。最も多いのは、横浜市の34施設で、次いで川崎市が23施設。さらに、相模原市の9施設、厚木市の5施設、藤沢市と小田原市の4施設などが続く。入居者数は計3096人で、うち9割以上の2877人が生活保護受給者だった。また、横浜市の3施設を除く県内の100施設には、スプリンクラーが設置されていないことがわかった。また、13施設で、生活保護費など入居者の金銭管理が行われており、19施設の利用者たちは、生活保護費から利用料を引いた残りが、3万円未満しかないこともわかった。県生活援護課は今年度、政令2市と相模原、横須賀両市を除く、県内の全宿泊所に指導監査を実施する予定で、すでに半数以上の立ち入り検査を終えた。民家を宿泊所に転用しているケースも多く、防火体制の不備があっても、指導徹底が難しいという。同課担当者は「入居者の権利のためにも、抜本的な基準の整備が必要」と話している。
宿泊所をめぐっては、今年1月、入所者の口座から無断で施設料を天引きした施設が埼玉県から改善指導を受けた。また、同6月には千葉市の指針に反し、入所者を市外から連れて来た施設の問題などが起きるなど、入所者と施設のトラブルが相次いでいる。このため同省は施設数と入所者数について毎年行っている全国調査に合わせ、運用指針に適合した運営が行われているかを初めて調査した。今年の調査では、全国の宿泊所数は計439施設で、トップの東京都が170施設だったという。
〈無料低額宿泊所〉
無料または低額で住居を提供する施設で、社会福祉法が定める「第2種社会福祉事業」の一つ。県や政令市などに届け出るだけで開設できる。同法には具体的な運営基準がなく、2003年に厚労省が定めた運用指針に沿って、県や政令市などが指針を定めているが、法的な拘束力はない。
◆平成21(2009)年11月5日 毎日新聞 東京夕刊
無保険の子:「高校生世代」救済対象外、数千人規模 厚労省、調査の方針
親の国民健康保険(国保)の保険料滞納で生じた「無保険の子」問題で、厚生労働省は5日、昨年12月の国保法改正で救済の対象外とされた「高校生世代」の子どもの実態を全国調査する方針を決めた。「無保険の高校生世代」は全国で数千人規模存在するとみられているが、公式な調査は初めて。結果は年内にもまとまる。
「無保険世帯」で暮らす、高校生世代の人数(今年9月時点)を全国の都道府県を通じて集計。国はその後、救済拡大の必要性を判断する。「無保険の高校生」については昨年度、毎日新聞が全市区町村を対象に独自に調査を実施。回答があった1103市区町村のうち、少なくとも330自治体に4367人存在することが判明したが、公的なものも含め、これ以外の全国調査は行われていない。
一方、中学生以下の「無保険の子」については昨年9月、厚労省が初めて実態調査を実施。約3万3000人いることが判明し、昨年12月の国保法改正で今春から、滞納世帯でも通常の保険給付が受けられるよう、期限6カ月の短期保険証の交付が市区町村に義務化された。しかし、高校生世代については、民主党が昨年11月、社民、国民新と3党で救済対象を「18歳未満」とする改正案を提出したが、対象外になった。今回の調査では、中学生以下の救済策についても、保険証が無保険世帯に届いていない実態についても調べる。こうした調査が行われるのも初めて。保険証交付方法の利点と問題点を分析して、確実に子どもに保険証を届ける方法を検討する方針。
◆平成21(2009)年11月5日 朝日新聞
公営住宅、単身者OK 「派遣切り」に対応、基準緩和へ
国土交通省の政務三役は5日、原則として家族で住む世帯にしか入居を認めていなかった公営住宅の基準を見直し、自治体の判断で単身者の入居を認める方針を決めた。「派遣切り」などで住居を失った単身者への支援に公営住宅を活用しようとしても、国の基準が障壁になって対応が不十分になったと指摘されていた。
政府の地方分権改革推進委員会が公営住宅の入居基準緩和を求める勧告を出していた。国交省は、単身者への住宅開放などを含む勧告への対応を分権委に回答する。公営住宅法は入居資格の一つとして「現に同居し、または同居しようとする親族」と規定している。昨秋以降、失業と同時に社員寮を退去させられるなどして住まいを失う単身者が続出したため、国交省は昨年12月、単身の失業者の入居を一時的に認める通知を出した。しかし、公営住宅法の規定があるため、「本来の対象者の入居を阻害しない範囲での目的外使用」と位置づけられ、空き家を原則1年間だけ開放する限定的な対応にとどまった。国交省は公営住宅法の改正も視野に、単身者を事実上排除してきた規定を撤廃する方針。自治体の判断で、単身者でも通常の公営住宅の入居者募集に応募できるようになる方向だ。
◆平成21(2009)年11月5日 朝日新聞 朝刊
家賃滞納データベース化 新たに20社が参加検討
家賃滞納などの信用情報のデータベース化が、規模を広げる見込みになった。家賃保証会社9社が設立したデータベース化推進の社団法人に、さらに約20社が参加する方向で検討。一般の賃貸住宅管理会社なども将来、マンションなどの入居者の情報を社団法人に提供する構想がある。
9社は先月、データベース化の中核となる社団法人「全国賃貸保証業協会」を新設。9社が連帯保証をしている賃貸住宅入居者の毎月の家賃の支払い状況を登録することにした。入居者の代わりに弁済した場合、その累計額も記入することになっていた。協会の会員は、相互に信用情報を利用できる。協会が4日に東京都内で開いた説明会には、9社以外で参加の意向を持つ保証会社が20社出席。協会は「会員15社で、運用開始から2年後に240万件の信用情報が蓄積される」と想定しているが、会員が増えれば、蓄積量は2年後には300万件前後に達するとみられる。すべての民間賃貸住宅の戸数は約1260万戸という。家主や管理会社は、家賃滞納を繰り返す入居者を把握して締め出す仕組みを切望しており、データベース化に合流する動きはさらに広がる可能性がある。一方で、信用情報蓄積の規模が拡大すれば、「データベースはホームレスを増やす」と撤回を求めてきた低所得者支援のNPO法人などが、反発をいっそう強めそうだ。保証業協会は「一時的な滞納で家賃保証を拒否することはない」「過去きちんと家賃を支払っていた人は信用が高まり、賃貸住宅を借りやすくなる」と強調している。ただ、悪質な滞納者かどうか、拒否するかどうかの判断は最終的に各業者にまかせられているため、業界内でも「病気などやむを得ない事情で数カ月間滞納する人も排除される」と反対する声が根強い。
◆平成21(2009)年11月6日 北海道新聞 朝刊地方
「年末に支援充実を」 反貧困ネット 札幌市長に要望書
生活困窮者の支援団体「反貧困ネット北海道」(代表・山口二郎北大大学院教授)は5日、札幌市としても年末に向けて困窮者への支援を充実するよう要望書を提出した。山口代表ら8人が市役所を訪れ、上田文雄市長に要望書を手渡した。積雪寒冷地で道外の他地域以上に生活が困難になるとして、要望書は《1》12月の相談会への市の協力や場所提供《2》生活保護申請時にかかる宿泊料の支給《3》住居喪失者に対する不動産情報の提供-などを求めている。木下武徳事務局長が「年末に向けて貧困者対策に取り組んでほしい」と訴えたのに対し、上田市長は「寒空の下で、支援の手が差し伸べられないことがないよう、柔軟に対応したい」と前向きに対処する考えを示した。
◆平成21(2009)年11月7日 東京新聞 朝刊
NHK 受信料に不況の影 生活保護など免除世帯増 契約数増加も収入伸び悩み
福地会長 『10%還元、今のところ変更なし』
NHKの受信料収入が、契約数は順調に増えているにもかかわらず伸び悩んでいる。不況の影響で生活保護世帯などの受信料免除者が増えているためだ。本年度予算では、受信料収入を過去最高の六千四百九十億円と見込んでいたが達成は厳しい状況。経営計画に盛り込んだ二〇一二年度からの受信料収入の10%還元はどうなる?
「信頼回復の指標として何としても達成したい」。今年一月に行われた予算についての会見で、金田新専務理事は、目標とする受信料収入の確保に強い決意をにじませていた。本年度は、昨年十月に経営委員会で議決された経営計画(09~11年度)の初年度。一二年度からの「受信料収入の10%還元」へ向けた第一歩であり、予算では受信料収入を前年より百四億円多い六千四百九十億円と見込んだ。しかし、本年度上半期(4~9月)の受信料収入は三千二百億円にとどまり、年度予算の半分に四十五億円足らなかった。第二・四半期の業務報告では「受信料収入の確保が大きな課題になっている。予算で見込んだ六千四百九十億円の確保が厳しくなりつつある」としている。
一方で、受信契約は順調に増加している。本年度の年間増加目標を契約総数三十万件、衛星契約六十万件としているが、上半期は、それぞれ十八万九千件(年間目標に対する進ちょく率62・9%)、三十四万三千件(同57・2%)と計画を上回るペースで増えている。NHKは昨年十月、訪問集金を廃止しており、その人員を未契約者や支払い拒否・保留者に対する活動に振り向けたことが効果をあげた。「パワーシフトによって契約の取り次ぎは極めて好調だが、予想外だったのは受信料免除世帯がこれだけ増えたこと」(福地茂雄会長)。受信契約が増加しているにもかかわらず、収入が伸び悩んでいるのは、厳しい経済状況が背景にある。生活保護受給者や市町村民税非課税の障害者らは、受信料が全額免除される。昨年度の生活保護世帯数は、八年連続で過去最多を更新。本年度に入っても、「公的扶助を受けて受信料全額免除になる世帯が三倍から四倍に増えている」(大西典良理事)という。また、経済的な理由から、口座振替が残高不足で落ちなかったり、振込用紙による振り込みがされなかったりするケースも出ている。上半期のこうした減収額は、当初の想定を上回る六十四億円に上り、契約増加による増収額七十二億円をほぼ相殺する形になってしまった。本年度は、地デジ投資の追加経費を計上したため、当初から赤字予算。しかし、経費削減と合わせ、地デジ関連支出の一部が来年度に繰り越される可能性があり、受信料収入が予算を下回っても赤字幅は拡大しないとみている。福地会長は、五日の定例会見で「収支バランスは入りも少ないが出も少ない。年度末の帳尻は合うと見込んでいる」と説明。「三カ年経営計画を変更する必要は今のところないと考えている」と述べ、現時点では一二年度からの「受信料収入の10%還元」を堅持する考えを示した。ただ、経営計画が議決されたのは、いわゆる「リーマン・ショック」の翌月。その後の急激な経済状況の悪化は織り込まれていない。今後の経済状況によっては、口座振替率の低下や全額免除世帯がさらに増える懸念もある。経営計画では、受信料収入を一〇年度に六千六百四十億円、一一年度に六千八百億円を目指すとしているが、ハードルは高いといえそうだ。
◆平成21(2009)年11月7日 産経新聞 東京朝刊
足立区が自殺予見の“門番”育成
自殺で亡くなる人は全国で11年連続、3万人を超えた。3年前には自殺対策基本法が制定され、国も対策を進めているが、なかなか決定打がないのが実情だ。その中、東京都足立区が地域住民を巻き込んだ自殺防止のセーフティーネットづくりを始め、注目を集めている。
「夫がそこまで追いつめられていたことに、最後まで気付いてあげられなかった。今でも悔やんでなりません…」 今月4日、同区内で地域住民約250人を対象に自殺防止の研修会が開かれ、NPO法人(特定非営利活動法人)「自殺対策支援センターライフリンク」の南部節子さんが、仕事に悩み自ら命を絶った夫(享年58)への思いを語ると、会場から、すすり泣く声が聞こえた。
区内では平成10年から20年までの11年で1782人が自殺した。目立つのは40歳以上の男性だ。景気の悪化に伴う倒産、失業、人員削減による責任過多など、ざまざまな要因が重なり、心理的に追いつめられたケースが目立つ。同区は高齢化や生活保護受給者の比率が高いこともあり、平成18年に都内23区で自殺者がワースト1になった。以来、自殺者対策を本格的に考え始め、昨秋、失業者が増える師走を前に、区職員を対象に自殺の予兆に気付き、見守り、必要に応じて専門機関につなぐ「ゲートキーパー」(門番)の育成を始めた。今月からは地域住民を対象にした研修会を開始。4日に行われた研修会では南部さんの講演の後、都立精神保健福祉センターの田中祐医師から、自殺は本人の自由意思の結果ではなく、失業や倒産、病気などさまざまな社会問題が重なり起こるもので「防げる」ことや、自殺を思いとどまらせるための接し方を学んだ。自殺の危険性がある人と感じたら「自分が打ち明け先に選ばれた」と受け止め、後回しにせず、その場で話を聞く。「そのうちどうにかなるよ」と聞き流さず、「辛かったね」と話を聞き、自殺をしないという約束をかわし、関係機関につなぐ-。この流れを教わった区民の山口洋子さん(67)は「50年以上前、私も中学時代の友人を自殺で失った。サインがあったのに、後で連絡しようと思っているうちに亡くなってしまったことが長年心残りでしたが、今度こそ、自殺のサインを出している人が地域にいたら迅速に対応していきたい」と話していた。区は12日にも国民健康保険料や区からの貸付金の滞納者の元に、徴収に出向く区嘱託職員を対象にした、心のサインに気付く研修を実施していく。
◆平成21(2009)年11月8日 毎日新聞 東京朝刊
底辺高校:「貧困」を再生産 中退率高く、「福祉と連携を」 埼玉で元教諭、調査
貧困でさまざまな保護を受けられない子ほど、高校中退率の高いいわゆる底辺校に多く在籍し、高校が貧困層の再生産の場になっている--。「ドキュメント高校中退」(ちくま新書)の著者、青砥恭さん(61)がこんな実情を独自の調査で裏付けた。「家庭への経済支援の充実とともに、学校に福祉の専門職を」と訴える。
埼玉県の元高校教諭で大学非常勤講師の青砥さんは08年夏、147ある埼玉の県立高を入試合格者の平均点で分類し、成績上位の進学校「G1」から下位校の「G5」まで5グループに分けた。04年度の新入生のうち卒業までに退学した生徒の割合は、G1=2%▽G2=3%▽G3=8%▽G4=20%▽G5=33%と、成績が下位になるほど高くなった。授業料減免を受ける生徒の割合も同じ傾向で、G5(19%)はG1(3%)の6倍以上に上った。同年12月には、各グループから地域・学力が偏らないように選んだ47校の3年生計1200人にアンケートを実施した。「親は自分に期待しているか」という質問に「そう思わない」と答えた割合は「まったく」と「あまり」を合わせると、G1が32%だったのに対し、G4、G5では53%だった。さらに、父親の職業に関する答えでも、高校の序列との関係がうかがえた。父親が会社員や公務員という生徒は上位校ほど多い一方、父親の職業を「知らない」と答えた生徒の割合は下位になるほど増え、親が失業や転職を繰り返し、子どもにわかりにくくなっているためとみられる。「持ち家」ではなく賃貸の住居に住む割合は、G1で1割未満だったが、G5では4割を超えた。
青砥さんは全国的にみて中退率の高い大阪府でも元生徒への聞き取りを実施。その結果、多くの子が中退後に希望する仕事や条件の良い職に就けず、高卒資格の必要性を感じていることが分かった。簡単な計算に加え歯磨きなどの基本的な生活習慣も知らずに育った子や、シングルマザーになった子もいたが、その多くは親が生活苦に陥り、子どもを支える能力や意欲のない家庭で育っていた。「教師も生活指導や事件対応などで忙しすぎ、中退を防ぐ気力がなえている」と青砥さん。「この10年間、毎年平均10万人が高校を中退している。鳩山政権が掲げる授業料の無償化だけでなく、専門職を学校に置くなど教育と福祉が連携した体制づくりや、教科書代・給食費の国庫負担化、返済不要の奨学金制度などを検討する時期だ」と提言している。
◆平成21(2009)年11月8日 毎日新聞 東京朝刊
無保険の子:高校生も救済 18歳まで、来夏にも交付--厚労省方針
親の国民健康保険(国保)の保険料滞納で生じた「無保険の子」問題で、厚生労働省は上限を「15歳以下の中学生」としてきた救済対象を、「18歳以下の高校生世代」にまで広げる方針を決めた。来年の通常国会に国保法の再改正案を提出し、来年夏にも導入する。今年4月実施の救済策で放置されていた、数千人規模の「無保険の高校生」に新たに保険証が交付されることになった。
中学生以下の「無保険の子」には今年4月から、短期保険証(期限6カ月)が一律交付されている。同省は、「18歳未満の救済」を掲げていた民主、社民、国民新の3党が政権に就いたことなどから、高校生世代の救済についても検討。救済対象の人数などを把握するために、今月、市区町村を通じて初の全国調査を始めた。法改正の可否についても省内部で議論した。児童福祉法が対象年齢を「18歳未満」としている▽民主党がマニフェストで「高校の実質無償化」を掲げ、高校生の心身の健康確保が必要--などの観点から、来年の通常国会への法案提出を決めた。救済範囲は「18歳に達した年度の年度末まで」になる見込み。国保会計は市区町村が管轄しているため、新たな国庫負担(予算措置)は不要となる。
「無保険の高校生」については昨年度、毎日新聞が全市区町村を対象に独自調査を実施。回答があった1103自治体のうち、少なくとも330自治体に4367人存在することが判明している。ただ、実数を把握していない自治体も多く、年内にもまとまる予定の国の全国調査結果が出るまでは正確な全体像は不明。厚労省は、人口比率などから割り出した推計値から、全国で7000人程度とみている。高校生世代の救済については、子育て支援や人道上の理由から、独自に救済に乗り出している自治体もある。札幌市が昨年12月、独自に保険証を交付したのをはじめ、毎日新聞の調査では、昨年度、全国155自治体(回答数のうち14%)が独自救済策を導入している。
◆平成21(2009)年11月9日 時事通信
ケースワーカー不足は172人=生活保護受給の増加で-大阪市
大阪市は9日に開催した市生活保護行政特別調査プロジェクトチームの会合で、9月末時点のケースワーカー不足が172人に上ることを明らかにした。生活保護の受給世帯数が増加傾向にあるためで、同市では8月、全国で初めて10万世帯を突破する異常事態となっている。
市はケースワーカーの配置に当たり、65歳未満では70世帯に1人、65歳以上の高齢者には380世帯に1人の独自基準を設定。今年度は計806人のケースワーカーが従事しているが、年度当初から基準に満たない状態が続いている。受給世帯数の増加は今後も続き、市は「来春にはケースワーカー不足がさらに増える」(健康福祉局)と判断。この日の会合で、来年度は福祉職員の新規採用や正規職員の補充で足りない場合、任期付職員の活用も検討することを確認した。また、市は会合で、生活保護業務に携わる職員に対し、業務改善策を検討するためのアンケートの実施を決定。各区の保健福祉センターなどで勤務する課長級以下の全職員約1000人を対象に、生活保護の実施体制や担当業務の内容などについて、自由記入方式で回答を求める。
◆平成21(2009)年11月9日 日本経済新聞
高齢者就業支援コーナー、全国14拠点を全廃 厚労相方針
長妻昭厚生労働相は9日、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構(東京・港)が実施する「高齢期雇用就業支援コーナー」事業を来年3月末までに全廃する方針を明らかにした。同事業は全国に14カ所あり、ハローワークと業務内容が重複しているとの指摘が出ていた。
支援機構は高齢者や障害者の就職を促す目的で03年10月に設置。同事業は支援機構が各自治体の雇用開発協会に委託して実施しており、現在は東京や神奈川、大阪など14都道府県にある。厚労相は「人件費や啓発広報を見直し、業務委託予算を10年度当初要求額の61億円から40億円へと34%減らす」と表明。さらに「第2段階としては支援機構の業務そのものについても見直していく」と一段のスリム化を目指す考えも示した。
◆平成21(2009)年11月9日 時事通信
「ワンストップ窓口」は現場に混乱=平松大阪市長
大阪市の平松邦夫市長は9日、政府の緊急雇用対策で、住宅支援や生活保護手続きなどをハローワーク1カ所で対応する「ワンストップサービス」の試行について、「手続きの窓口を集中し、利便性を図る考え方は一定理解する」と述べる一方、「(利用者は)かえって二度手間になり、現場も混乱する恐れがある」との考えを明らかにした。同日開催した市生活保護行政特別調査プロジェクトチームの会合のあいさつで語った。
平松市長は、ハローワークにはさまざまな地域から相談に訪れる現状を指摘。その上で、利用者によっては「(ハローワークで)生活保護の申請受け付けを行うことは、住民情報の確認がその場で行えず、改めて居住地の福祉事務所に行っていただくことになる」との見解を示した。政府は、同サービスを東京、愛知、大阪の3都府県で今月30日に試行するとしている。
◆平成21(2009)年11月10日 共同通信
制度複雑で窓口ばらばら 安全網、支援人材は不足
政府は就職先の紹介や住居の確保、生活保護などセーフティーネット(安全網)の利用申請を、ハローワークでまとめて受け付ける「ワンストップ・サービス」を今月末に東京などで試験実施する。失業者や支援団体の「制度が複雑な上、窓口もばらばら」との指摘に応えた格好だ。だが、生活再建に向け幅広い助言ができるスタッフの不足が指摘され、本格実施を目指す上での課題も浮かび上がっている。
▽煩雑な手続き
「知人の車で何カ所も移動し丸2日かかった。電車やバスなら交通費が5千円以上必要で、手続きに1週間はかかりそう。途中で嫌になる人もいるのでは」 雇用保険と生活保護の間に位置付けられる住宅手当などの「第2の安全網」を10月中旬に申請した大分市の元請負会社社員男性(34)。この月から始まった制度だが、ハローワークに社会福祉協議会、市役所、不動産業者と部屋の家主…。書類をもらい、訂正のために行ったり来たり。男性は煩雑さにため息をつく。男性は愛媛県出身。大分キヤノンの工場で働き、昨年12月に解雇された。雇用保険の失業給付は9月に切れ、事前の約束通り10月末に工場の仕事を請け負っていた会社の寮を退去。安定した再就職先が見つからず、貯金は10万円を切った。「両親からは『生活保護のお世話になるなら帰ってこい』と言われた。できれば(保護は)受けたくない。地元に戻っても仕事はなく、バイトをしながら大分で再就職先を探したい」。「第2の安全網」が再就職への意欲を支えている。
▽派遣村繰り返すな
「ハローワークでは住居の世話とかできなかったが、自治体などに協力をお願いし、ワンストップ・サービスができる態勢をつくりたい」。菅直人副総理は10月中旬のテレビ番組でこう語った。昨年暮れから年始に、不況で職と住まいを失った派遣労働者らが東京・日比谷の「年越し派遣村」に押し寄せた。この年末に派遣村が再現されれば、鳩山政権への不信を招きかねない。菅氏は、派遣村の村長を務めた湯浅誠(ゆあさ・まこと)氏を内閣府参与に迎えた。湯浅氏は「縦割り行政」の弊害を指摘していた。安全網は雇用保険と生活保護が柱。雇用情勢の悪化を受け、政府は両制度の中間的な役割を担う「第2の安全網」を設け、失業者に住宅手当や職業訓練中の生活費の支給を10月から始めた。窓口は雇用保険がハローワーク、生活保護と住宅手当は市区町村、当面の生活費を貸し付ける生活福祉資金は社会福祉協議会とばらばら。これらの窓口を一元化するのがワンストップ・サービスだ。政府は緊急雇用対策に盛り込み、11月末に東京都や大阪府、愛知県のハローワークで試験的に実施。結果を踏まえ、年末年始や定期的な実施を検討する。
▽最後まで手助けを
試験実施ではハローワークや市区町村などの職員が机を並べ、相談者は各種の申請書類を1カ所で受け取れる。ただ、すべての職員が担当外の制度に精通しているわけではない。どの制度を組み合わせて利用し、どういう段取りで動けばいいのかまで助言できるか疑問視する声も。大分市の男性の申請に付き添った派遣、請負労働者らを支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「ガテン系連帯」スタッフの池田一慶(いけだ・いっけい)さんは「窓口で担当外の制度まで理解している職員は少ない。相談者が一連の申請を終えるまで手助けするスタッフが必要だ」と指摘している。
◆平成21(2009)年11月5日 読売新聞 東京朝刊
無料低額宿泊所 防火不備9割 ホームレスや生活困難者向け=神奈川
◇県「抜本的な基準整備が必要」
ホームレスや生活困難者に住居を提供し、自立支援を図る民間施設「無料低額宿泊所」が、県内に計103施設あり、東京都に次いで、全国で2番目に多いことが、厚生労働省の全国調査でわかった。このうち9割以上の施設がスプリンクラーを設置していないなど、防火体制が不備だったほか、1割以上が、入所者の金銭管理を行っていることも判明。県内の行政担当者からは「抜本的な基準の整備が必要」との声が上がっている。
◇103施設 全国2位
調査によると、県内でこうした宿泊所があるのは、横浜市、川崎市、横須賀市、相模原市など15市3町。最も多いのは、横浜市の34施設で、次いで川崎市が23施設。さらに、相模原市の9施設、厚木市の5施設、藤沢市と小田原市の4施設などが続く。入居者数は計3096人で、うち9割以上の2877人が生活保護受給者だった。また、横浜市の3施設を除く県内の100施設には、スプリンクラーが設置されていないことがわかった。また、13施設で、生活保護費など入居者の金銭管理が行われており、19施設の利用者たちは、生活保護費から利用料を引いた残りが、3万円未満しかないこともわかった。県生活援護課は今年度、政令2市と相模原、横須賀両市を除く、県内の全宿泊所に指導監査を実施する予定で、すでに半数以上の立ち入り検査を終えた。民家を宿泊所に転用しているケースも多く、防火体制の不備があっても、指導徹底が難しいという。同課担当者は「入居者の権利のためにも、抜本的な基準の整備が必要」と話している。
宿泊所をめぐっては、今年1月、入所者の口座から無断で施設料を天引きした施設が埼玉県から改善指導を受けた。また、同6月には千葉市の指針に反し、入所者を市外から連れて来た施設の問題などが起きるなど、入所者と施設のトラブルが相次いでいる。このため同省は施設数と入所者数について毎年行っている全国調査に合わせ、運用指針に適合した運営が行われているかを初めて調査した。今年の調査では、全国の宿泊所数は計439施設で、トップの東京都が170施設だったという。
〈無料低額宿泊所〉
無料または低額で住居を提供する施設で、社会福祉法が定める「第2種社会福祉事業」の一つ。県や政令市などに届け出るだけで開設できる。同法には具体的な運営基準がなく、2003年に厚労省が定めた運用指針に沿って、県や政令市などが指針を定めているが、法的な拘束力はない。
◆平成21(2009)年11月5日 毎日新聞 東京夕刊
無保険の子:「高校生世代」救済対象外、数千人規模 厚労省、調査の方針
親の国民健康保険(国保)の保険料滞納で生じた「無保険の子」問題で、厚生労働省は5日、昨年12月の国保法改正で救済の対象外とされた「高校生世代」の子どもの実態を全国調査する方針を決めた。「無保険の高校生世代」は全国で数千人規模存在するとみられているが、公式な調査は初めて。結果は年内にもまとまる。
「無保険世帯」で暮らす、高校生世代の人数(今年9月時点)を全国の都道府県を通じて集計。国はその後、救済拡大の必要性を判断する。「無保険の高校生」については昨年度、毎日新聞が全市区町村を対象に独自に調査を実施。回答があった1103市区町村のうち、少なくとも330自治体に4367人存在することが判明したが、公的なものも含め、これ以外の全国調査は行われていない。
一方、中学生以下の「無保険の子」については昨年9月、厚労省が初めて実態調査を実施。約3万3000人いることが判明し、昨年12月の国保法改正で今春から、滞納世帯でも通常の保険給付が受けられるよう、期限6カ月の短期保険証の交付が市区町村に義務化された。しかし、高校生世代については、民主党が昨年11月、社民、国民新と3党で救済対象を「18歳未満」とする改正案を提出したが、対象外になった。今回の調査では、中学生以下の救済策についても、保険証が無保険世帯に届いていない実態についても調べる。こうした調査が行われるのも初めて。保険証交付方法の利点と問題点を分析して、確実に子どもに保険証を届ける方法を検討する方針。
◆平成21(2009)年11月5日 朝日新聞
公営住宅、単身者OK 「派遣切り」に対応、基準緩和へ
国土交通省の政務三役は5日、原則として家族で住む世帯にしか入居を認めていなかった公営住宅の基準を見直し、自治体の判断で単身者の入居を認める方針を決めた。「派遣切り」などで住居を失った単身者への支援に公営住宅を活用しようとしても、国の基準が障壁になって対応が不十分になったと指摘されていた。
政府の地方分権改革推進委員会が公営住宅の入居基準緩和を求める勧告を出していた。国交省は、単身者への住宅開放などを含む勧告への対応を分権委に回答する。公営住宅法は入居資格の一つとして「現に同居し、または同居しようとする親族」と規定している。昨秋以降、失業と同時に社員寮を退去させられるなどして住まいを失う単身者が続出したため、国交省は昨年12月、単身の失業者の入居を一時的に認める通知を出した。しかし、公営住宅法の規定があるため、「本来の対象者の入居を阻害しない範囲での目的外使用」と位置づけられ、空き家を原則1年間だけ開放する限定的な対応にとどまった。国交省は公営住宅法の改正も視野に、単身者を事実上排除してきた規定を撤廃する方針。自治体の判断で、単身者でも通常の公営住宅の入居者募集に応募できるようになる方向だ。
◆平成21(2009)年11月5日 朝日新聞 朝刊
家賃滞納データベース化 新たに20社が参加検討
家賃滞納などの信用情報のデータベース化が、規模を広げる見込みになった。家賃保証会社9社が設立したデータベース化推進の社団法人に、さらに約20社が参加する方向で検討。一般の賃貸住宅管理会社なども将来、マンションなどの入居者の情報を社団法人に提供する構想がある。
9社は先月、データベース化の中核となる社団法人「全国賃貸保証業協会」を新設。9社が連帯保証をしている賃貸住宅入居者の毎月の家賃の支払い状況を登録することにした。入居者の代わりに弁済した場合、その累計額も記入することになっていた。協会の会員は、相互に信用情報を利用できる。協会が4日に東京都内で開いた説明会には、9社以外で参加の意向を持つ保証会社が20社出席。協会は「会員15社で、運用開始から2年後に240万件の信用情報が蓄積される」と想定しているが、会員が増えれば、蓄積量は2年後には300万件前後に達するとみられる。すべての民間賃貸住宅の戸数は約1260万戸という。家主や管理会社は、家賃滞納を繰り返す入居者を把握して締め出す仕組みを切望しており、データベース化に合流する動きはさらに広がる可能性がある。一方で、信用情報蓄積の規模が拡大すれば、「データベースはホームレスを増やす」と撤回を求めてきた低所得者支援のNPO法人などが、反発をいっそう強めそうだ。保証業協会は「一時的な滞納で家賃保証を拒否することはない」「過去きちんと家賃を支払っていた人は信用が高まり、賃貸住宅を借りやすくなる」と強調している。ただ、悪質な滞納者かどうか、拒否するかどうかの判断は最終的に各業者にまかせられているため、業界内でも「病気などやむを得ない事情で数カ月間滞納する人も排除される」と反対する声が根強い。
◆平成21(2009)年11月6日 北海道新聞 朝刊地方
「年末に支援充実を」 反貧困ネット 札幌市長に要望書
生活困窮者の支援団体「反貧困ネット北海道」(代表・山口二郎北大大学院教授)は5日、札幌市としても年末に向けて困窮者への支援を充実するよう要望書を提出した。山口代表ら8人が市役所を訪れ、上田文雄市長に要望書を手渡した。積雪寒冷地で道外の他地域以上に生活が困難になるとして、要望書は《1》12月の相談会への市の協力や場所提供《2》生活保護申請時にかかる宿泊料の支給《3》住居喪失者に対する不動産情報の提供-などを求めている。木下武徳事務局長が「年末に向けて貧困者対策に取り組んでほしい」と訴えたのに対し、上田市長は「寒空の下で、支援の手が差し伸べられないことがないよう、柔軟に対応したい」と前向きに対処する考えを示した。
◆平成21(2009)年11月7日 東京新聞 朝刊
NHK 受信料に不況の影 生活保護など免除世帯増 契約数増加も収入伸び悩み
福地会長 『10%還元、今のところ変更なし』
NHKの受信料収入が、契約数は順調に増えているにもかかわらず伸び悩んでいる。不況の影響で生活保護世帯などの受信料免除者が増えているためだ。本年度予算では、受信料収入を過去最高の六千四百九十億円と見込んでいたが達成は厳しい状況。経営計画に盛り込んだ二〇一二年度からの受信料収入の10%還元はどうなる?
「信頼回復の指標として何としても達成したい」。今年一月に行われた予算についての会見で、金田新専務理事は、目標とする受信料収入の確保に強い決意をにじませていた。本年度は、昨年十月に経営委員会で議決された経営計画(09~11年度)の初年度。一二年度からの「受信料収入の10%還元」へ向けた第一歩であり、予算では受信料収入を前年より百四億円多い六千四百九十億円と見込んだ。しかし、本年度上半期(4~9月)の受信料収入は三千二百億円にとどまり、年度予算の半分に四十五億円足らなかった。第二・四半期の業務報告では「受信料収入の確保が大きな課題になっている。予算で見込んだ六千四百九十億円の確保が厳しくなりつつある」としている。
一方で、受信契約は順調に増加している。本年度の年間増加目標を契約総数三十万件、衛星契約六十万件としているが、上半期は、それぞれ十八万九千件(年間目標に対する進ちょく率62・9%)、三十四万三千件(同57・2%)と計画を上回るペースで増えている。NHKは昨年十月、訪問集金を廃止しており、その人員を未契約者や支払い拒否・保留者に対する活動に振り向けたことが効果をあげた。「パワーシフトによって契約の取り次ぎは極めて好調だが、予想外だったのは受信料免除世帯がこれだけ増えたこと」(福地茂雄会長)。受信契約が増加しているにもかかわらず、収入が伸び悩んでいるのは、厳しい経済状況が背景にある。生活保護受給者や市町村民税非課税の障害者らは、受信料が全額免除される。昨年度の生活保護世帯数は、八年連続で過去最多を更新。本年度に入っても、「公的扶助を受けて受信料全額免除になる世帯が三倍から四倍に増えている」(大西典良理事)という。また、経済的な理由から、口座振替が残高不足で落ちなかったり、振込用紙による振り込みがされなかったりするケースも出ている。上半期のこうした減収額は、当初の想定を上回る六十四億円に上り、契約増加による増収額七十二億円をほぼ相殺する形になってしまった。本年度は、地デジ投資の追加経費を計上したため、当初から赤字予算。しかし、経費削減と合わせ、地デジ関連支出の一部が来年度に繰り越される可能性があり、受信料収入が予算を下回っても赤字幅は拡大しないとみている。福地会長は、五日の定例会見で「収支バランスは入りも少ないが出も少ない。年度末の帳尻は合うと見込んでいる」と説明。「三カ年経営計画を変更する必要は今のところないと考えている」と述べ、現時点では一二年度からの「受信料収入の10%還元」を堅持する考えを示した。ただ、経営計画が議決されたのは、いわゆる「リーマン・ショック」の翌月。その後の急激な経済状況の悪化は織り込まれていない。今後の経済状況によっては、口座振替率の低下や全額免除世帯がさらに増える懸念もある。経営計画では、受信料収入を一〇年度に六千六百四十億円、一一年度に六千八百億円を目指すとしているが、ハードルは高いといえそうだ。
◆平成21(2009)年11月7日 産経新聞 東京朝刊
足立区が自殺予見の“門番”育成
自殺で亡くなる人は全国で11年連続、3万人を超えた。3年前には自殺対策基本法が制定され、国も対策を進めているが、なかなか決定打がないのが実情だ。その中、東京都足立区が地域住民を巻き込んだ自殺防止のセーフティーネットづくりを始め、注目を集めている。
「夫がそこまで追いつめられていたことに、最後まで気付いてあげられなかった。今でも悔やんでなりません…」 今月4日、同区内で地域住民約250人を対象に自殺防止の研修会が開かれ、NPO法人(特定非営利活動法人)「自殺対策支援センターライフリンク」の南部節子さんが、仕事に悩み自ら命を絶った夫(享年58)への思いを語ると、会場から、すすり泣く声が聞こえた。
区内では平成10年から20年までの11年で1782人が自殺した。目立つのは40歳以上の男性だ。景気の悪化に伴う倒産、失業、人員削減による責任過多など、ざまざまな要因が重なり、心理的に追いつめられたケースが目立つ。同区は高齢化や生活保護受給者の比率が高いこともあり、平成18年に都内23区で自殺者がワースト1になった。以来、自殺者対策を本格的に考え始め、昨秋、失業者が増える師走を前に、区職員を対象に自殺の予兆に気付き、見守り、必要に応じて専門機関につなぐ「ゲートキーパー」(門番)の育成を始めた。今月からは地域住民を対象にした研修会を開始。4日に行われた研修会では南部さんの講演の後、都立精神保健福祉センターの田中祐医師から、自殺は本人の自由意思の結果ではなく、失業や倒産、病気などさまざまな社会問題が重なり起こるもので「防げる」ことや、自殺を思いとどまらせるための接し方を学んだ。自殺の危険性がある人と感じたら「自分が打ち明け先に選ばれた」と受け止め、後回しにせず、その場で話を聞く。「そのうちどうにかなるよ」と聞き流さず、「辛かったね」と話を聞き、自殺をしないという約束をかわし、関係機関につなぐ-。この流れを教わった区民の山口洋子さん(67)は「50年以上前、私も中学時代の友人を自殺で失った。サインがあったのに、後で連絡しようと思っているうちに亡くなってしまったことが長年心残りでしたが、今度こそ、自殺のサインを出している人が地域にいたら迅速に対応していきたい」と話していた。区は12日にも国民健康保険料や区からの貸付金の滞納者の元に、徴収に出向く区嘱託職員を対象にした、心のサインに気付く研修を実施していく。
◆平成21(2009)年11月8日 毎日新聞 東京朝刊
底辺高校:「貧困」を再生産 中退率高く、「福祉と連携を」 埼玉で元教諭、調査
貧困でさまざまな保護を受けられない子ほど、高校中退率の高いいわゆる底辺校に多く在籍し、高校が貧困層の再生産の場になっている--。「ドキュメント高校中退」(ちくま新書)の著者、青砥恭さん(61)がこんな実情を独自の調査で裏付けた。「家庭への経済支援の充実とともに、学校に福祉の専門職を」と訴える。
埼玉県の元高校教諭で大学非常勤講師の青砥さんは08年夏、147ある埼玉の県立高を入試合格者の平均点で分類し、成績上位の進学校「G1」から下位校の「G5」まで5グループに分けた。04年度の新入生のうち卒業までに退学した生徒の割合は、G1=2%▽G2=3%▽G3=8%▽G4=20%▽G5=33%と、成績が下位になるほど高くなった。授業料減免を受ける生徒の割合も同じ傾向で、G5(19%)はG1(3%)の6倍以上に上った。同年12月には、各グループから地域・学力が偏らないように選んだ47校の3年生計1200人にアンケートを実施した。「親は自分に期待しているか」という質問に「そう思わない」と答えた割合は「まったく」と「あまり」を合わせると、G1が32%だったのに対し、G4、G5では53%だった。さらに、父親の職業に関する答えでも、高校の序列との関係がうかがえた。父親が会社員や公務員という生徒は上位校ほど多い一方、父親の職業を「知らない」と答えた生徒の割合は下位になるほど増え、親が失業や転職を繰り返し、子どもにわかりにくくなっているためとみられる。「持ち家」ではなく賃貸の住居に住む割合は、G1で1割未満だったが、G5では4割を超えた。
青砥さんは全国的にみて中退率の高い大阪府でも元生徒への聞き取りを実施。その結果、多くの子が中退後に希望する仕事や条件の良い職に就けず、高卒資格の必要性を感じていることが分かった。簡単な計算に加え歯磨きなどの基本的な生活習慣も知らずに育った子や、シングルマザーになった子もいたが、その多くは親が生活苦に陥り、子どもを支える能力や意欲のない家庭で育っていた。「教師も生活指導や事件対応などで忙しすぎ、中退を防ぐ気力がなえている」と青砥さん。「この10年間、毎年平均10万人が高校を中退している。鳩山政権が掲げる授業料の無償化だけでなく、専門職を学校に置くなど教育と福祉が連携した体制づくりや、教科書代・給食費の国庫負担化、返済不要の奨学金制度などを検討する時期だ」と提言している。
◆平成21(2009)年11月8日 毎日新聞 東京朝刊
無保険の子:高校生も救済 18歳まで、来夏にも交付--厚労省方針
親の国民健康保険(国保)の保険料滞納で生じた「無保険の子」問題で、厚生労働省は上限を「15歳以下の中学生」としてきた救済対象を、「18歳以下の高校生世代」にまで広げる方針を決めた。来年の通常国会に国保法の再改正案を提出し、来年夏にも導入する。今年4月実施の救済策で放置されていた、数千人規模の「無保険の高校生」に新たに保険証が交付されることになった。
中学生以下の「無保険の子」には今年4月から、短期保険証(期限6カ月)が一律交付されている。同省は、「18歳未満の救済」を掲げていた民主、社民、国民新の3党が政権に就いたことなどから、高校生世代の救済についても検討。救済対象の人数などを把握するために、今月、市区町村を通じて初の全国調査を始めた。法改正の可否についても省内部で議論した。児童福祉法が対象年齢を「18歳未満」としている▽民主党がマニフェストで「高校の実質無償化」を掲げ、高校生の心身の健康確保が必要--などの観点から、来年の通常国会への法案提出を決めた。救済範囲は「18歳に達した年度の年度末まで」になる見込み。国保会計は市区町村が管轄しているため、新たな国庫負担(予算措置)は不要となる。
「無保険の高校生」については昨年度、毎日新聞が全市区町村を対象に独自調査を実施。回答があった1103自治体のうち、少なくとも330自治体に4367人存在することが判明している。ただ、実数を把握していない自治体も多く、年内にもまとまる予定の国の全国調査結果が出るまでは正確な全体像は不明。厚労省は、人口比率などから割り出した推計値から、全国で7000人程度とみている。高校生世代の救済については、子育て支援や人道上の理由から、独自に救済に乗り出している自治体もある。札幌市が昨年12月、独自に保険証を交付したのをはじめ、毎日新聞の調査では、昨年度、全国155自治体(回答数のうち14%)が独自救済策を導入している。
◆平成21(2009)年11月9日 時事通信
ケースワーカー不足は172人=生活保護受給の増加で-大阪市
大阪市は9日に開催した市生活保護行政特別調査プロジェクトチームの会合で、9月末時点のケースワーカー不足が172人に上ることを明らかにした。生活保護の受給世帯数が増加傾向にあるためで、同市では8月、全国で初めて10万世帯を突破する異常事態となっている。
市はケースワーカーの配置に当たり、65歳未満では70世帯に1人、65歳以上の高齢者には380世帯に1人の独自基準を設定。今年度は計806人のケースワーカーが従事しているが、年度当初から基準に満たない状態が続いている。受給世帯数の増加は今後も続き、市は「来春にはケースワーカー不足がさらに増える」(健康福祉局)と判断。この日の会合で、来年度は福祉職員の新規採用や正規職員の補充で足りない場合、任期付職員の活用も検討することを確認した。また、市は会合で、生活保護業務に携わる職員に対し、業務改善策を検討するためのアンケートの実施を決定。各区の保健福祉センターなどで勤務する課長級以下の全職員約1000人を対象に、生活保護の実施体制や担当業務の内容などについて、自由記入方式で回答を求める。
◆平成21(2009)年11月9日 日本経済新聞
高齢者就業支援コーナー、全国14拠点を全廃 厚労相方針
長妻昭厚生労働相は9日、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構(東京・港)が実施する「高齢期雇用就業支援コーナー」事業を来年3月末までに全廃する方針を明らかにした。同事業は全国に14カ所あり、ハローワークと業務内容が重複しているとの指摘が出ていた。
支援機構は高齢者や障害者の就職を促す目的で03年10月に設置。同事業は支援機構が各自治体の雇用開発協会に委託して実施しており、現在は東京や神奈川、大阪など14都道府県にある。厚労相は「人件費や啓発広報を見直し、業務委託予算を10年度当初要求額の61億円から40億円へと34%減らす」と表明。さらに「第2段階としては支援機構の業務そのものについても見直していく」と一段のスリム化を目指す考えも示した。
◆平成21(2009)年11月9日 時事通信
「ワンストップ窓口」は現場に混乱=平松大阪市長
大阪市の平松邦夫市長は9日、政府の緊急雇用対策で、住宅支援や生活保護手続きなどをハローワーク1カ所で対応する「ワンストップサービス」の試行について、「手続きの窓口を集中し、利便性を図る考え方は一定理解する」と述べる一方、「(利用者は)かえって二度手間になり、現場も混乱する恐れがある」との考えを明らかにした。同日開催した市生活保護行政特別調査プロジェクトチームの会合のあいさつで語った。
平松市長は、ハローワークにはさまざまな地域から相談に訪れる現状を指摘。その上で、利用者によっては「(ハローワークで)生活保護の申請受け付けを行うことは、住民情報の確認がその場で行えず、改めて居住地の福祉事務所に行っていただくことになる」との見解を示した。政府は、同サービスを東京、愛知、大阪の3都府県で今月30日に試行するとしている。
◆平成21(2009)年11月10日 共同通信
制度複雑で窓口ばらばら 安全網、支援人材は不足
政府は就職先の紹介や住居の確保、生活保護などセーフティーネット(安全網)の利用申請を、ハローワークでまとめて受け付ける「ワンストップ・サービス」を今月末に東京などで試験実施する。失業者や支援団体の「制度が複雑な上、窓口もばらばら」との指摘に応えた格好だ。だが、生活再建に向け幅広い助言ができるスタッフの不足が指摘され、本格実施を目指す上での課題も浮かび上がっている。
▽煩雑な手続き
「知人の車で何カ所も移動し丸2日かかった。電車やバスなら交通費が5千円以上必要で、手続きに1週間はかかりそう。途中で嫌になる人もいるのでは」 雇用保険と生活保護の間に位置付けられる住宅手当などの「第2の安全網」を10月中旬に申請した大分市の元請負会社社員男性(34)。この月から始まった制度だが、ハローワークに社会福祉協議会、市役所、不動産業者と部屋の家主…。書類をもらい、訂正のために行ったり来たり。男性は煩雑さにため息をつく。男性は愛媛県出身。大分キヤノンの工場で働き、昨年12月に解雇された。雇用保険の失業給付は9月に切れ、事前の約束通り10月末に工場の仕事を請け負っていた会社の寮を退去。安定した再就職先が見つからず、貯金は10万円を切った。「両親からは『生活保護のお世話になるなら帰ってこい』と言われた。できれば(保護は)受けたくない。地元に戻っても仕事はなく、バイトをしながら大分で再就職先を探したい」。「第2の安全網」が再就職への意欲を支えている。
▽派遣村繰り返すな
「ハローワークでは住居の世話とかできなかったが、自治体などに協力をお願いし、ワンストップ・サービスができる態勢をつくりたい」。菅直人副総理は10月中旬のテレビ番組でこう語った。昨年暮れから年始に、不況で職と住まいを失った派遣労働者らが東京・日比谷の「年越し派遣村」に押し寄せた。この年末に派遣村が再現されれば、鳩山政権への不信を招きかねない。菅氏は、派遣村の村長を務めた湯浅誠(ゆあさ・まこと)氏を内閣府参与に迎えた。湯浅氏は「縦割り行政」の弊害を指摘していた。安全網は雇用保険と生活保護が柱。雇用情勢の悪化を受け、政府は両制度の中間的な役割を担う「第2の安全網」を設け、失業者に住宅手当や職業訓練中の生活費の支給を10月から始めた。窓口は雇用保険がハローワーク、生活保護と住宅手当は市区町村、当面の生活費を貸し付ける生活福祉資金は社会福祉協議会とばらばら。これらの窓口を一元化するのがワンストップ・サービスだ。政府は緊急雇用対策に盛り込み、11月末に東京都や大阪府、愛知県のハローワークで試験的に実施。結果を踏まえ、年末年始や定期的な実施を検討する。
▽最後まで手助けを
試験実施ではハローワークや市区町村などの職員が机を並べ、相談者は各種の申請書類を1カ所で受け取れる。ただ、すべての職員が担当外の制度に精通しているわけではない。どの制度を組み合わせて利用し、どういう段取りで動けばいいのかまで助言できるか疑問視する声も。大分市の男性の申請に付き添った派遣、請負労働者らを支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「ガテン系連帯」スタッフの池田一慶(いけだ・いっけい)さんは「窓口で担当外の制度まで理解している職員は少ない。相談者が一連の申請を終えるまで手助けするスタッフが必要だ」と指摘している。
by hanhinkon | 2009-11-26 01:14 | 生活保護 | Trackback | Comments(0)
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